toscanaAC’s blog

雑記です。

ゲーム感想 メンヘラフレシア

ドラマティックで救いようの無い世界。

メンヘラフレシア

メンヘラフレシア

昨年末、年末年始用に買ってプレイしたのがこのメンヘラフレシアだ。一通りクリアしたので感想を書いてみる。アドベンチャーゲームだけど、公式側は「メンヘラ恋愛ホラーアドベンチャー」って謳っている。

何だかジャンルのごった煮みたいになってるけど、プレイした感じではアドベンチャーという程でもなくどちらかと言えば物語を楽しむノベルゲームに近い。選択肢はあるものの選択によってストーリーに影響がでるのは個々のストーリーの最後の方にある選択肢でそれ以外はその場の応答が変わる程度でしかない。

ゲームにはサブタイトルで、Flowering Abyss とついていて直訳すれば「開花の深淵」となる。これは深く底知れない闇を持つ5人のヒロインとの関わりを表しているようだ。

ゲームはオムニバスで主人公はいたろーというちょっと変わった名前の男性で、ヒロインは花をモチーフにした女性だ。

それぞれヒロインに対して色が設定されている。まるで戦隊モノの色分けみたいだけど、まぁそこは気にしない。

物語の構成は起承転結じゃないけど、4つのパートから構成される。

  • パート1:芽を出す前
  • パート2:芽を出す
  • パート3:蕾になる
  • パート4:花を咲かせる

パート1~3の終わりには主人公いたろーが自宅に戻りその日を振り返るシーンの後に、ヒロインの闇の部分を表すシーンが出てくる。花を咲かせたパート4では、いよいよヒロインの闇の部分が主人公の前にさらけ出されることになる。

その闇と心中する(身を委ねる)のか、もしくは拒絶するのかによって結末が異なってくるんだけど、正直HAPPY ENDだろうとBAD ENDだろうと不幸な終わりにしか見えず、物語全体が闇に覆われているとしか言いようがない。

プレイしていると暗く沈んだ気分になってくるけど、そんな気分にさせるのは実は音楽の効果が大きいと感じている。

オープニングやエンディングで掛かるピアノ伴奏の歌(何語で歌っているのかわからない・・ケルト音楽っぽい?)があるんだけど、それが切なく悲しく暗く沈み込むような曲でありながらも、その気持を跳ね除けるかのような強さを出そうとして脆く崩れていくようなイメージの曲で、このゲームの絶望と希望の境目を歩くようなストーリーに絶妙にマッチしている。

ちなみにテーマソングの「Cocoon」はゲーム中には使われておらず・・PVで使われている。

エクストラのはなばたけ

公式サイトにも書かれているけど、もともとはPCフリーゲームでswitchのものはそれのリメイク版+追加シナリオを入れたものになっている。追加シナリオは、ifの世界になっていてもし主人公とヒロインが幸せになる世界があったら?の話を見ることができる。選択肢はなくifの物語を読むだけになっている。

ということで、各キャラ毎の感想も書いてみる。

まつり「今ここに 最愛の花を咲かせよう」

ヒロインのまつりは、主人公にグイグイ迫ってくる元気な女の子。主人公が多少邪険に扱ってもメゲずに切り替えしてくる。ちなみに一人称はボクという、ボクっ子だ。

そんな元気な彼女は、主人公のストーカーだったりする。主人公が好きではあるけど、その好きという愛情が歪んでいる。歪む理由は彼女が抱える心の闇。

クリアはHAPPY ENDでもBAD ENDでも嫌な気分になるもので、特にBAD ENDはドン引きするぐらいで、もし現実にそんなことが起きたら「夢なら覚めてくれ」って願いたくなると思う。

ま、全てのストーリーで後味の悪い終わり方をするんだけど、このまつりのシナリオは結構キツめだ。

だからifのまつりサニーデイは、その闇を払拭しきれていないけど何とか元気を保ててるという話になっている。ちなみにサニーデイは、花ではなくシーンを表している。

みほみ「今ここに 猛毒の花を咲かせよう」

ヒロインのみほみは、いわゆる妹キャラというやつで妹ではないけど近所に住む1つ学年が下の女の子。過去に主人公が困っている彼女を助けた経緯から異常なまでに慕ってくる。

そんな彼女は今の家に居場所がない。その不安もあり、自分を一度引っ張り上げてくれた主人公が他の人と仲良くしているのを見て敵意を抱いてしまう。おそらく自分が拒否されることを異常に怖がっているのと、家庭のことで自己嫌悪に陥っていることがその敵意になっているんだと思う。

HAPPY ENDのクリアは切ないというかやるせない気持ちになるけど、BAD ENDはホラーだw(コワイっつーの・・・)

そして、ifのみほみサマーレインでは、主人公が更に彼女を引っ張り上げた話になっている。現実的には難しいけどおそらくプレイしている側からすればこんな結末が見たかった結末なんじゃないかと思う。

現実的には難しい。現実の世界では声にならない助けを求める叫びがあっても、多くは上辺だけの対応で本質的に助けることはしないしできない。残酷さが現実がある。このストーリーをプレイしてそんなことを考えてしまった。ことある毎にでてくるフレーズ「強烈に残酷で、理不尽な世界」なんだろうな、と。

あゆめ「今ここに 猟奇の花を咲かせよう」

ヒロインのあゆめは、主人公のあこがれの女優。主人公が過去に辛かった時、彼女のドラマのセリフが彼の心を救った。その時から彼女のファンになり、とあるBARに彼女が現れることを知って毎晩通っている。

前の2つのストーリーとは異なり今度は主人公側がヒロインを慕う側になっている。そしてその彼女はある目的でBARに通っている。過去の忌まわしい事件を自分の手でカタをつけるために・・。

個人的にはこのストーリーはちょっとわかりにくい構成というか、どう解釈するのかがわからない箇所が多い。一度主人公を避けたヒロインが再度主人公と会おうと思ったキッカケや、ヒロインがフラれたと言っているのは本当なのかフェイクなのか、彼女が待っていたのは誰なのか、憧れていた俳優は本当に憧れていたのかそれとも彼女にとっての仇なのか。

BARに出入りしたのはその仇が来ることを待ち、隙を見て仇を討つことだったとは思うけど、それは成功したのか失敗したのか。

色々な部分が謎だったりする。(主人公とホテルに入る前に人を殺めてきたことは事実だったようだけど・・それが仇だったら主人公に失敗とは言わないだろうし・・)

このストーリーもHAPPY END、BAD END共に悲惨な内容で、おまけにグロい・・。

そしてifのあゆめエキサイトの内容は、他のストーリーと違って主人公が不幸にはならないけど、ヒロインはもう自分が戻れないことを自覚している。つまり本ストーリーと同じようにいつか仇討ちをするんだと思われる。ifのストーリーでは一番悲しい話なのかもしれない。

もえこ「今ここに 幸福の花を咲かせよう」

ヒロインのもえこは、いわゆる陰キャと呼ばれるやつで且つコミュ障。主人公のことが好きだけども話しかけることもなかなかできない。

このストーリーもまつりやみほみと同じく慕われる系なんだけど、違うのは主人公の性格。完全ヲタでおまけにゲスな性格。ヲタ発言などネタっぽくて笑える内容が多いけど、パートの終わりに出てくるヒロインの病みっぷりが結構キツい。

そしてHAPPY ENDでもBAD ENDでも主人公は死んでしまうけど、特にBAD ENDは全ストーリーの中で一番ホラーな内容になっている、と思う。(コワいよ・・)

ifのもえこサルバトーレは、主人公が生きてるif(本当に生きているのか判別はつかないけど・・)。そして、サルバトーレは、ヒロインの魔法少女名とでも言えばいいのだろうか・・。救世主を表す。主人公のゲスっぷりは変わらないけど、ヒロインをキチンと受け入れている点は唯一いいところだ。

ねねね「今ここに 絶望の花を咲かせよう」

ヒロインのねねねはいわゆる超お嬢様。親から譲り受けたダイヤのついた指輪や貸し切りのレストランなどのお金持ちな背景に加え、話し言葉がいかにもお嬢様している。丁寧すぎて、ある意味近くにいても距離を感じるような印象だ。(慇懃無礼という程ではないけど、近いものを感じてしまう)

彼女は母の形見である指輪を拾った主人公に礼を尽くすんだけど、少々度が過ぎている。彼女の苦悩は人が羨む財力を自由にできても自身の行動は自由にできない点。そして、家族が一緒であることを望んでいたんだろうけど、母が自分を残して亡くなってしまったという現実から強い絶望を感じている。そんなことから主人公への愛情が少しずつ歪んでくる。

ちなみにプレイしていてCVの方とキャラ絵のギャップが大きいと感じた。キャラ絵は可愛らしいけど、声が大人びているんだよね。

HAPPY ENDは切なくてこの結末以外の道はなかったんだろうか、と感じてしまうものだけど、BAD ENDはなんでそうなるってツッコミを入れたくなる。もし彼女の全てが虚言、妄想の世界であり、結婚と表現しているのは病院等へ拘束されることを意味しているような描写でもあれば理解できるんだけどね。ちょっと唐突すぎると感じた。(ま、BAD ENDのタイトルからして唐突なんだろうけど・・)

ifのねねねイロープは彼女を助け出すことができた世界。イロープは駆け落ちを意味する。他のストーリーのif同様に幸せになっている。関係ないけど連続して各ストーリーをプレイすると、その後にifの世界を見ないと妙に悲しい気分になってくる。

TRUE END

5人のヒロインをクリアするとエキストラからパスワード入力でTRUE ENDを見ることができる。TRUE ENDを見るとそれまでタイトルにまつりの絵が表示されていたけど、キャプチャした5人の明るい姿に切り替わる。(確かデイグラシアの羅針盤もこの方式で深い海の中から助かった外海の景色に変わったはず・・)

パスワードは各ストーリーをクリアすると記録されているので、メモしたりしなくても大丈夫。自動入力できるようになっている。

最後に、ゲームのUIについて。気軽にskipできて選択肢ではストップしてくれるし、設定で1度選んだ選択肢はグレーアウトできるのでまだ選択していない選択肢を簡単に見つけることができる。メニュー表示やログ表示もワンボタンでできるので快適だ。

ただ問題が1つある。BGMや音声の音量調節はできるものの、台詞によっては音声の強弱が強いためswitch本体のスピーカーでプレイしていると小さな声の時は聞こえづらく、逆に大きな声の時はビックリするほど大きくなるのが気になった。

イヤホンやヘッドホンの場合はそれほどではないのかもしれないけど、本体のスピーカーで聴く時を考慮してノーマライズしたほうがいいんじゃないかな・・と感じた。

ということで、物語を楽しむアドベンチャーとしては楽しめたと思っている。メランコリック(憂鬱)でセンチメンタル(感傷的)な気持ちが受け入れられる人なら、より楽しめるんじゃなだろうかと思う。

以上、感想でした。