toscanaAC’s blog

雑記です。

ゲーム感想 探しものは、夏ですか。

序盤が耐えられれば、中盤からグイグイ引き込まれる。

探しものは、夏ですか。

Are you looking for the summer

まるで井上陽水の「夢の中へ」の歌詞のようなタイトルなのは、先日(2023/08/25)ケムコから発売されたノベルアドベンチャーゲームだ。元はスマホゲームでスタジオワンダーフォーゲルが制作している。

たまたまswitchのNEW GAMEで見かけて気になったので買ってみた。ゲーム関連のニュースサイトだと、ひと夏のボーイミーツガールな物語って書いてあったけど、まさにそんな感じの物語でもあり、それだけではない切ない物語でもある。ちょっと歯切れが悪いけど、ネタバレになるような内容はガイドライン上アウト(厳密には動画のガイドラインになるけど・・)なので、この記事はあっさりめで感想を書いてみたい。

クリアまでは、私の場合ぶっ通しでやって5時間ぐらいだった。先日のorangeの少女首領の推理領域 黄金島の密約や未然探偵と同様に短めではあるけど、プレイしていてグッと引き込まれるいい物語だったと思っている。

公式に載っているけど一応簡単に書いてみると、時期は2018年8月、主人公は大学生の空木恭平(うつぎきょうへい)で、子供の頃にお世話になった近所の駄菓子屋の店主が亡くなったため夏休みに母方の実家に帰省することになったことから物語は始まる。

駅に到着したものの事件で道路が封鎖されていたため、徒歩で帰宅することになった恭平はふとその駄菓子屋に寄ってみる。シャッターが降りている駄菓子屋の中がどうなっているのか気になったので、シャッターの新聞受けから覗くと、そこには着替え中の女の子が・・。

女の子から覗いたことを咎められ、結果として通報しない代わりに探しもの(ビー玉)の手伝いをすることに。女の子の名前は、織原真琴。高校生の女の子だ。ビー玉探しや恭平の過去に出会った女の子のことで一緒に手がかりを探したりするうちに、真琴との関係性が次第に見えてくる・・とそんな物語になっている。

ちなみにケムコのサイト、(2023/08/28現在)「記憶の中の少女」の説明が「出会い」の説明になっている・・ちょっとしたミスかな?。

ということで感想を書いていく。

システム周り

まずはシステム周りについて。

オプション - システム

タイトル画面からオプションを選択すると、システム、サウンド、ヘルプの3種類がタブ表示される。キャプチャはシステム設定。テキスト表示やスキップ、ウィンドウの背景色の濃さなどが設定できる。それと全般の箇所では方向ボタンの切り替えができるようになってるんだけど、これはswitchのJoy-Con片方のみで操作できるようにするために用意されているようだ。

オプション - サウンド

次はサウンド。BGM音量とかが変更できるのと、キャラクターボイスの音量変更ができる。主人公の恭平と真琴、その他で個別設定できるのが地味に凄い。というか、この価格帯でフルボイスになっているのも凄いな・・。

で、私の場合、ボイスを聞いているのが面倒になってしまって途中からオフにしてしまった。クリアした今となっては、ボイス有りでもう1度プレイするのもいいかな・・と思っている。

オプション - ヘルプ

最後はヘルプ。ま、各操作や機能の説明だ。

サイドメニュー

ちなみにプレイ中は、Xボタン押下でサイドメニューが表示される。セーブ/ロードの他、オプション設定ができるのと、インデックスとして物語のチャート表示ができるようになっている。

インデックス

インデックスを開くと、こんな感じで日付の流れと選択肢が表示される。このインデックスから物語を再開することもでき、且つ他のアドベンチャーゲームと比べてフラグなどが無い分楽ちんだ。

キャラクター

次にキャラクターについても書いてみる。


空木恭平

空木恭平

キャプチャは物語冒頭の車窓のシーン。ゲーム中に主人公が表示されるシーンはネタバレになる部分が多いので、公式で表示されているシーンと同じものを使っている。顔つきはわからないけど、スラッとしていて見た目は悪くないと思う。冒頭でも書いたけどこの物語の主人公、大学生で夏休みを利用して母方の実家に帰省する。両親は離婚していて、恭平は父の方に引き取られ暮らしている模様。

コミュ障というか陰キャというか、あまり人と接するのが得意ではないタイプで、何事にもちょっと諦めている感がある。子供の頃、この町で過ごし夏祭りでとある女の子と遊んでいたものの、恭平の一言が原因で別れてしまいそれっきり会えなくなっていた。そのことが彼にとってちょっとしたトラウマにもなっていたようだ。

で、個人的には状況に流されやすい主人公って感じがする。事なかれ主義なところがあって、真琴の件もかなり強引な物言いなのに大して反論もできずに流されてしまっている。人によっては、プレイしていてちょっとイラッとするかもしれない。ただ、流されて渋々手伝っていても一所懸命なところは好感が持てる。


織原真琴

織原真琴

駄菓子屋で着替えをしていたところを恭平に見られてしまい、その罰としてビー玉探しの手伝いを依頼した女の子。駄菓子屋の店主と関係があって会いにきた模様。

性格はツンデレというのかどうかわからないけど、恭平に対してはかなり当たりが強い。恭平が覗いたことをたてに警察をちらつかせて手伝わそうとしたり、ビー玉探しの手伝いをさせているにも関わらず飲み物は恭平に奢らせたりとやりたい放題。上から目線なことも多く、序盤は本当に感じが悪かった。

記事の冒頭で序盤が耐えられれば、と書いたのはこのことで、この子の言動にイラッとすることが多く、途中で止めようかな・・と思ったことが何度かあった。ゲームだから仕方がないけど、現実的にこんな子はいないだろうし、恭平のようなお人好しもそうそういないので、その辺のリアリティが無いんだよね。(普通なら警察呼ばれても、駄菓子屋に不審な物音がしたから覗いただけで他意はない、と突っぱねれば警察もバカではないので、あっさり片付くはずなんだよね。寧ろ不法侵入している真琴の方が立場的にまずいハズだし・・ま、それを言ったらゲームが始まらないんだけどさ)

ちなみに中盤から後半にかけて彼女のもつ秘密が見えてくることで、物語が一気に面白くなってくる。


橋爪久美子&節子

橋爪久美子&節子

橋爪久美子(右)は恭平の母親で、橋爪節子(左)は祖母になる。母親の方は小言が多いもののサバサバしているのに対して、祖母の方は穏やかでアレコレ気になる部分があっても敢えて言わない、それを胸の内にしまい込んでやさしく接してくれる。

何と言うか、恭平と真琴の関係性にリアリティが無いのに対し、こちらの家族の雰囲気はその辺のどこの家庭でもありそうな日常を感じる。小言の多い母親というのは、やっぱりよくあることなんだろうか?ww(ちびまる子ちゃんを見ているような気分になる)

物語は、真琴とのパートと家族とのパートが交互に来るような感じで、家族との会話から恭平の思っていることや感じていることが少しずつわかるようになっている。


橋爪清

橋爪清

橋爪清は、恭平の母の父、つまり祖父になる。見た目に違わぬ頑固なところがあり意見や価値観を押し付けるタイプだけど、自分が間違ったことに関しては受け入れてちゃんと謝る人だったりする。

恭平は以前からこの祖父が苦手で、はっきりとしない自分に対し圧を掛けてくるような錯覚を覚えている。母方の実家にあまり帰省していなかったのもこの祖父が原因だったりする。

孫である恭平のことは自慢の孫と言っているが、内心納得いっていないところもあるようで、口数少なくあまり恭平と会話はしないもののちょっとしたタイミングで恭平に都会での生活を訊いたりしてくる。

まぁいわゆる不器用でちょっと頑固なお年寄りってイメージだ。それでも、自分で間違った時には謝る度量をもっている人なので、老害とかではなく不快感はない。逆に恭平の方が祖父に対して場当たり的な対応をするので、そっちの方が不快かもしれない。


本原かをり

本原かをり

本原かをりは、駄菓子屋の店主だ。恭平が子供の頃にお世話になり、真琴にとっても大切な人で、天涯孤独の人。2018年8月には既に亡くなっているものの、キャプチャは過去に恭平が会った時のものだ。

この物語では頻繁にラムネが出てくる。ラムネと言えばサイダーと一緒に夏の定番な飲み物で、タイトル画面のBGMでもラムネのビー玉の音が入ってからBGMが再生されたりして、意識的にラムネを演出している。恭平が子供の頃ラムネのビー玉を落とすのが下手だったけど、うまく落とすやり方をこの駄菓子屋のおばあさんから教えてもらっている。

2018年では既に亡くなっているものの、彼女はこの物語のキーパーソンな存在で物語を進めていく程に彼女が何を考えていたのか?がわかるようになっている。

プレイしていくと、ちょっと切ない気分になるかもしれない。


図書館の館長

図書館の館長

キャプチャは図書館の館長。恭平が過去に夏祭りで会った少女のことを調べる時、色々と助言をしてくれる。

この町では七夕の伝説が残っていて、8月に行われる七夕祭りの期間に伝承の石(爾今の石、来し方の石)により織姫と彦星が会うことができるというものがある。この七夕の伝説が物語に深く関わっているので、館長の言葉はしっかりと記憶しておいた方がいい。

この館長、ちょっとお喋り好きなのが玉に瑕だけど、館長権限発動で書籍を貸してくれたりしてとても理解のある人だったりする。

ゲーム感想

ということでゲームの感想を書いてみる。


主人公達の性格

キャラ紹介のところでは、恭平も真琴もイラッとすると書いたんだけど、物語の流れ的に仕方ないんだろうな・・とクリアしてから感じた。真琴のビー玉探しは恭平の弱みを握らないと強制しづらいし、恭平の過去の夏祭りで会った女の子の捜索も恭平の押しの弱さと真琴の押しの強さがあってこそ自然な流れになるからだ。

2人の性格が物語の最後まで変わるわけではないものの、わずかな変化を物語を通して感じるにはこれがベストなんだろうな、と感じている。

それでも、ツンデレなタイプのヒロインは少々古い印象がある。他にやり方は無かったのかな?なんてあれこれ考えてしまう。


SEのループ問題

問題と書いたけど、まぁ問題ではなくちょっと気になるな、程度の話だ。夏を舞台としていて、SEとしてBGMとは別に昼間はセミの鳴き声、夜は鈴虫などの鳴き声が入るものの、ループする時にループしたことがハッキリと解る感じになっているのが残念に感じた。

いや、この価格でこれ以上求めるのはどうかと思うので、全然問題無いんだけど、それでもちょっと気になってしまうかな・・という話。


キャラクターボイスの是非

各キャラがフルボイスで喋ってくれるという、この価格にしてはなかなか無い機能ではあるんだけど、このキャラボイスってアドベンチャーやノベル物では少々難しいものがあると個人的には思っている。

というのは、キャラが声を出すのはアニメとかでは口パクや表情などがあってその場面で喋っていることに対し間延びしないからこそ成立すると思っている。しかしながら、このゲームの場合基本立ち絵があって、部分的に表情が変わる程度なので、どうしても間延び感が出てしまうと思っている。

私の場合、このあたりに違和感を感じてしまいボイスオフにしてしまったんだけど、ボイス無しの脳内再生でも十分楽しめると思うので、もったいないと思わずに、自分に合わないと思ったらボイスオフも試してみるといいかもしれない。(声をあてている声優さんには申し訳ないけどね・・)


背景の実写取り込み

基本ゲーム中の背景は実写の取り込みで淡くボカした感じになっているんだけど、普通に綺麗で私は好きだったりする。このゲーム、エンディングは4種類のエンディングがあるんだけど、その中のTrueEndと言えるエンディングでは、エンディングの曲(歌)と共に実写の風景が表示されるので、ゲームや風景に興味ある人は買ってみるのもいいかもしれない。(体験版は無いけど、スマホ版は無料なのでプレイしてみて面白かったら買ってみるというものアリかと・・)

そうだ、エンディングの話をしたのでちょっと情報を付加すると、4種類のエンディングのうちGOOD ENDと言えるのが2つ、BAD ENDと言えるのが1つ、そしてTRUE ENDとなるのが1つの合計4つだと思っている。

コンシューマ版は、全種類のエンディングを見ると更に特典エピソードとしてその後の話を読むことができるようになっている。感動の最後の1年後、何が起きるのかはコンシューマ版だけの楽しみと言える。


橋爪清との関係

ゲームの本質部分とは関係ないものの、恭平の苦手な祖父との関係も注目したい。このゲーム、主人公は大学生だけど、プレイして色々と感じるには、30歳以上、いや40歳以上ぐらいの年齢の方があれこれと考えさせられる内容なんじゃないかな、と思っている。

IARCで3歳以上となっているけど、物語として楽しむなら中学生以上ぐらいがいいだろうし、今というかいつの時代でも若い人なら主人公の恭平の視点でプレイするもいいと思う。ただ、人の親になったり酸いも甘いも知った大人になった時にプレイすると、また違った感想を持つんじゃないかと思っている。

最後に

ということで、ゲームの感想を書いてみた。全部クリアするのに5時間程度、音声付きでプレイしてもおそらく6~7時間じゃないかと思うけど、個人的には買ってよかったと思える内容だった。中盤からはグイグイと引き込まれて時間を忘れてプレイしていたし、TRUE ENDはとても切ない気分になった。

今度は音声付きで再プレイしたいと思っている。以上、探しものは、夏ですか。の感想でした。