toscanaAC’s blog

雑記です。

クラシック感想 Dvorak No9「ラファエル・クーベリック」

クーベリックの新世界を聴く!

先日に続きクラシック感想。2023/07/19にタワーレコード企画で「COLUMBIA X TOWER RECORDS/The Valued Collection Platinum」という長いレーベルの7回目として発売された3タイトルの中の1つで、ドヴォルザーク 交響曲 第9番 新世界のHybrid SA-CDだ。

発売時に買ってはいたんだけど、先日のケルテスの新世界を聴くまで開けることもなく放置していた・・。ケルテスを聴いたついでにこちらも聴いてみたので感想を書いてみる。

クーベリック 新世界

指揮者は ラファエル・クーベリック で、オーケーストラはチェコフィルだ。

クーベリックチェコ出身の指揮者だけどチェコスロヴァキア時代にイギリスへ亡命をしていて、以降チェコフィルを指揮する機会が無かった。同じチェコ出身のドヴォルザークチェコフィルで演奏するというのは、クーベリックにとっては1つの夢だったかもしれない、と勝手に想像してみる。

1990年プラハの春チェコフィルスメタナのわが祖国を演奏し、1991年秋に2回目のチェコフィルドヴォルザークの新世界を演奏している。このCDはこの2回目のチェコフィルのライブ演奏を録音したものだ。

個人的にはクーベリックの新世界は、感傷的にならずに聴いた上で言えばベルリンフィル(1972年)やバイエルン放送交響楽団(1980年)の方がよい印象があって、この1991年のものは年齢的にも体調的にもベストな状態ではなかったと思っている。

で、問題というか如何なものか?と思えるのはSA-CD化の部分で、これまでSA-CD化されておらず初のSA-CDとなっている点はいいんだけど、ORTマスタリングというもので行われている。このORTマスタリングというもの、私の解釈でいくといわゆるニセレゾとかと同じようなものだ。

1991年のデジタル録音なのでそのデジタル録音以上の状態にはならないんだけど、ORT倍音再構築技術)によって低域部分の倍音から高域部分を予測し再構築するという処理がなされている。予測し再構築する、ここがポイントで実際に録音されていない音が追加されている、ということになる。

プラシーボかもしれないけど確かに音の広がりは感じるし、音質も良くなっている印象はある。ただ、こういったことにうるさい人は嫌がるかもしれないし、違和感や不自然さを感じるかもしれない。

個人的には、あまりよい印象の無かった1991年のクーベリックの新世界が比較的まともになったように思えるので買ってよかったと思っている。ちなみにライブ録音なので色々と雑音(椅子が軋む音や楽譜をめくる音、咳など)が入っていて臨場感があるものの、第1楽章の冒頭が拍手で始まるなど普段スマホなどに入れて聴きたい人にとっては不親切かもしれない。

音はちょっと薄っぺらいという表現が適切かはわからないけど、重さというか重厚感がない(全般的ではなく、部分的に)印象だ。(デジタル録音なので音質自体は非常に良い)

次に演奏の部分を見ると、金管木管、弦と今ひとつでなんと言えばいいのか全部ではないけど部分部分で鳴らしきれてない、という印象が強い。ライブだから仕方がない(どちらかと言えばライブでコレは凄い演奏なのかも)というのもあるだろうし、クーベリックが指揮者を離れて時間が経過しているのもあるだろう、そして1989年の起きたチェコスロヴァキアビロード革命による影響がチェコフィルにもあったのではないかと推測している。

何れにせよ、聴くに堪えない演奏などではなく素晴らしい演奏ではあるものの、他の演奏を聴いてしまうとどうしてもワンランク落ちてしまう、というのが私の感想だ。

ちなみにカップリングはモーツァルト 交響曲 第38番 プラハチェコにちなんだ選曲になっている。こちらの感想は省略。

以上、ラファエル・クーベリック ドヴォルザーク 交響曲 第9番 「新世界から」の感想でした。