toscanaAC’s blog

雑記です。

クラシック感想 Dvorak No9「ヘルベルト・フォン・カラヤン」

カラヤンの2つの演奏を聴く!

数いる作曲家の中でもメロディーメーカーとして知名度があるドヴォルザーク
そのドヴォルザークの作曲した中でもおそらくは一番有名なのがこの交響曲 第9番で、サブタイトルに「新世界より」と付けられたこの曲はドヴォルザークアメリカ滞在期間中に作ったことに由来する。

第2楽章は「遠き山に日は落ちて」で有名な旋律がイングリッシュホルンの美しい響きで奏でられ、そして第4楽章では金管による強烈な主題で圧倒される。
単純だけど親しみやすいメロディでクラシックの中では人気の高い曲だ。

さて、今回は20世紀の大指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの映像作品(Blu-ray)を視聴した感想を書いてみたいと思う。

1966年 BPO

1966年のBPO

こちらは、演奏の映像化を目的として撮影されたもので、映画監督アンリ=ジョルジュ・クルーゾーと共同制作された映像。セッション録音でカラヤンのまわりを囲むようにオケが配置されていて面白い。

そして映像に残されているカラヤンは若々しい印象。1966年ということは、カラヤン58歳(えっ!?結構歳だよな・・) 。でも、モノクロだからなのかもしれないけどシュッとしていて若い。独特の目をつぶったスタイルで優雅に指揮をしている。

映像はとてもキレイで後述の1985年のカラー映像より良い印象がある。

肝心の演奏はカラヤン全盛期ということもあり、美しくもエネルギッシュだ。弦は優雅に、金管は鋭く、木管が歌う、そんな印象を受けた。そして、全体的にスピード感のある演奏になっているのもこの1966年の映像の特徴だと思う。

古い映像ということもあり、第2楽章の途中や第4楽章の一番盛り上がる部分で少し音が不安定になるのが残念だが総じてノイズもあまりなく良い音質で聴くことができる。

1977年BPOとのCDが名演の1つだとは思うけど、演出が派手になった77年の演奏より個人的にはこちらの方が好みかもしれない。

ところで、映像をみていて面白かったのは金管木管の数でファゴットが4人もいる。数えてみたらやたら多かった。なんと、ホルン8、トロンボーン4、トランペット4、フルート4、オーボエ4、クラリネット4、チェロ8、コントラバス8だ。超大所帯ww。

更に映像で同じ第1楽章の中でもフルートとオーボエの位置が変わっていたりするので、数が多いのはみせるための構成といったところかな。

個人的には、モノクロ映像だけど全盛期のカラヤンの演奏としてオススメだ。

1985年 VPO

1985年のVPO

こちらは1985年、タイトルをみるとライブ録音っぽく見えるけどムジークフェラインザールでのセッション録音だ。流石に1966年と比べると音がいい。

ジャケットのカラヤンは白髪だけどまだ覇気があるようなイメージなのに、実際の映像ではあちこちに老いを感じてしまう。このときは77歳。亡くなる4年前と考えるとこういった映像が残っていてよかったなと感じる。

1966年の時から比べればどうしても力強さといったものが欠けているしスピード感もない。ただ、その代わりと言っていいかわからないけど繊細な美しさがある。この1985年の演奏を表現するならそんな言葉になるかな。

ちなみにこちらの映像もみせることに拘っていて、演奏とそのフレーズの特徴的な楽器をクローズアップして同じ構図でトランペットやオーボエクラリネット、チェロなどを映している。ちなみに楽器の数は標準構成のようだ。

悪い演奏ではなく寧ろオーソドックスというか丁寧で模範的な演奏なんだけど少しつまらない。個人的には歴史的価値はあっても、好みとして新世界を聴く映像としてはオススメできないかな。