toscanaAC’s blog

雑記です。

雑記 ワイヤレスイヤホン(GTW 270 Hybrid)を買ってみた。

今月上旬に、2つ目のワイヤレスイヤホンを購入した。

GTW 270 Hybrid

EPOS GTW 270 Hybrid

先日、詐欺と詐欺まがいの記事で書いたけどEPOS(エポスではなくイーポスと呼ぶ)というメーカーのワイヤレスイヤホンを中古で購入した。(写真、白い紙の上で撮影したけどフリッカーで色合いがおかしくなってしまった・・)

少し前に買ったゼンハイザー CX True Wireless でゲームをプレイしたところ、わずかだけど遅延が発生した。わずかな遅延ではあるんだけど、アクションゲームをプレイする場合、リズムが狂うというかどうもやりづらい。理由は単純で、CX True Wirelessが対応しているコーデックは、SBC、AAC、aptXで、使っているPCだとAACかaptXで繋がっている(と思われる)。このAACもaptXも遅延が少なめで音質もいいんだけど、ゲームプレイに耐えうる遅延ではないためだ。

で、調べた結果、ゲーム向けの低遅延コーデックとなるaptX LLに対応するイヤホンならプレイに支障は無いみたいなので、実際に対応製品を探したところ、全然少ない上に結構高い。(30000円を超えるようなのもチラホラ・・)

比較的低価格だったのが、EPOSというメーカーのワイヤレスイヤホン GTW 270 Hybrid だった。このメーカー、ゲーム用のヘッドホンやイヤホンに特化したものを出しているメーカーで、GTW 270 Hybrid もゲーム用途のワイヤレスイヤホンになっている。特長としては、付属のドングルを使うことで低遅延の接続ができる点だ。

もともとゼンハイザーのゲームデバイス事業をやっていたところがデマンドグループと連携してゼンハイザーコミュニケーションズという会社でやっていたけど、2020年にそこから独立してデマンドグループ配下のEPOSという会社を立ち上げて事業を引き継ぐ形になった。デマンドグループは、デンマークの会社で主に補聴器などの聴覚医療機器を扱っている会社だ。EPOSのワイヤレスヘッドホンやイヤホンは、補聴器で培われた技術にゼンハイザーの音質に関する技術が加わったものなんだと推測できる。

ということで、まだそんなに使用して時間経過してないけど GTW 270 Hybrid を使った感想を書いてみたいと思う。

感想


バッテリーの持ち

これはダウンロードしたマニュアルにも書いてあることなんだけど、通常のBluetooth接続の場合は5時間で、低遅延のドングルを使用の場合は3.5時間しか持たない。実際に使ってみた感じでは4時間ぐらい持つような印象だったけど、3.5時間だとは思わなかった。

バッテリー残量が少なくなってくると、「Low Battery」と音声でアナウンスがされる。後で問題点のところでも書くけど、このアナウンス音声が結構大きい音のため、しずかな音楽を聴いていたりすると結構びっくりする。しかも何度も通知してくるため、結構鬱陶しい。


充電

CX True Wireless と同じというか、ワイヤレスイヤホン全般で同じだと思うけど、充電はバッテリーケース(充電ボックス)のUSB Type-Cの端子経由で充電(付属品はUSB Type-Cのケーブルのみ)する。もちろん充電用のアダプタは付属していないので、こちらで用意することになる。

ケースは蓋の部分に磁石はあるけど、イヤホン部分には無いため CX True Wireless のようにカチャッとはまる感が無い。

充電時間は、仕様だとフルで1.5時間、15分で1時間使用可能になっているけど何だか計算が合わない。(Bluetoothの5時間なら、1時間15分だと思うんだけどね)で、ケースの充電を含めるとフルで1時間45分掛かるらしい・・。

ケースによる充電は3回分で、通常のBluetooth接続だとイヤホンの5時間+3回分の15時間、低遅延のドングルを使用する場合は3.5時間+3回分の10.5時間。充電時間は掛かるものの、ケース併用なら結構持つ。

バッテリーの状態はケースのランプで確認する。5つのランプがあって、おおよそ1つのランプが20%相当になっている。5つ点灯していると100%となる。


ペアリングと接続について

ペアリングは、イヤホンをケースに収納した状態で蓋を開け前面のボタンを3秒押下しつづけると親機とペアリングされる。そしてドングルの方はペアリング済になっているので操作不要ですぐに使える、便利だ。

接続されると音声アナウンスで「Device Connected」と通知される。ドングル接続の場合は、「Dongle Connected」と通知される。CX True Wireless と比べると必要最低限のアナウンスなので、パワーオンとかオフ、切断とかの通知が無いのが残念だ。

ちなみに電源が入る(ケースから取り出す)と、過去に接続した機器に自動的に接続しにいくようなので、複数の親機を使う場合は親機のBluetoothをオフにしておいたほうがいいかもしれない。(子機がどこに繋がっているかわからなくなるので・・)


アプリ

この GTW 270 Hybrid にもPC用だけど、アプリ(EPOS Gaming Suite)が用意されている。ファームウェアのアップデートやイコライザなどが設定できるけど、正直たいしたことができるようなアプリではない。

2023年現在だとおそらくファームウェアが更新されることは無いんじゃないかと思っているので、インストールする価値はないかも。あと、日本語対応しているけど、字が小さくてみづらい。(英語圏のアプリってどうしてフォントサイズを小さくしてしまうのか、理解に苦しむ・・)


装着感

この装着感は、先日買ったCX True Wireless よりもフィットする感じで驚いている。バッテリー切れまで使っても痛みを感じることはなかった。(CX True Wireless の方は普段使いだと痛くなることはなかったけど、バッテリー切れまで検証した時はちょっと痛くなってきた)

イヤーピースは、XS、S、M、Lの4種類。私の場合は、Sサイズがピッタリだった。

ちなみにこの EPOS GTW 270 もエルゴノミクスデザインになっているそうだ。


音質

感覚的な話ではあるんだけど、CX True Wireless の音よりほんの僅かベールを被ったような音という感じがする。あと低音が少しブーミーな印象だ。ただ、音楽を聴くよりゲームが主体になることを考えると全く気にならないぐらいにいい音質だと感じた。

あとアプリのところで書いたけど、アプリを使うことで9バンドのイコライザ設定ができる。結構細かく設定できるので、イコライザにこだわりたい場合はアプリを入れて設定すればいいと思うけど、1つだけ面倒なのはスマホとかでイコライザの切り替えができないので都度アプリと連携させて変更という手間が発生する点だ。

これは、スマホアプリが提供されるのを待ちたいところかな。


遮音性&音漏れ

遮音性、音漏れ共に CX True Wireless と同じで、外の音が全く聞こえないわけでもないし、かといって外の音がダダ漏れで聞こえるわけでもない。また、音漏れも無い。


携帯性

ケースはアルマイト加工のもので、質感が非常にいいけど傷つきやすいようだ。私の場合中古で購入したということもあり、ケースに擦り傷などがついていた。サイズは横幅6.5cm、高さ3.5cm、奥行き3.3cmで長方形となっている。携帯性が悪いということはないけど、ストラップホールとかは無いので、紛失防止の対策(巾着に入れるとか)をしておいたほうがよさそうだ。

それと、最初に書いたようにアルマイトで傷つきやすいため、他の付属品と一緒の袋とかにいれるのはやめておいた方がいいかも。


取説

いちおうクイックガイドが用意されているので見れば何となくわかるけど、ちゃんとしたユーザーズガイドはEPOSのサイトからダウンロードする必要がある。

ちなみにユーザーズガイドの仕様を見る限りコーデックの表記が無いんだよね・・。なんでだろう。ドングルで低遅延を謳っているものの、それがaptX LLとは書いてないので、ネットの情報に出てくるaptX LL対応は本当なのだろうか?と検証してみるまで不安だった・・。

取説の話とは関係ないけど、EPOSのサイトはCookie利用のための設定が必須になっているためちょっと嫌な気分になる。企業サイトがCookie利用を強制するのはヤメてほしい。


付属品

付属品は、充電ケーブル、ドングルの変換ケーブル、ドングルの保護カバー、イヤーピース、マニュアルとなっていて、結構立派な化粧箱に収納されている。


ゲームプレイ

で、実際にゲームをプレイしてみたけど、1つはアケアカ ドルアーガの塔。CX True Wireless は遅延があってプレイしづらかった(できないわけではない)けど、GTW 270 Hybridだと有線のイヤホンやスピーカーとほぼ同じで遅延を感じなかった。

2つ目は先日発売されたアイレムコレクション。イメージファイトやXマルチプライをプレイしてみたけど、こちらも違和感なくプレイすることができた。

結論として、ゲームでワイヤレスイヤホンを使うならこれ一択かな、と感じた。

ただ、ちょっとしたデメリットもある。aptX LLの仕様に依存する部分だと思うけどノイズや瞬断がaptXより入りやすい気がする。ま、ゲーム中に気になるほどでも無いんだけどね・・。

問題点

次に、使ってみて感じた問題点も書いてみる。

1 LowBatteryの通知音声がデカい

感想のところでも書いたけど、この「LowBattery」の通知音量がデカくてびっくりするんだよね。CX True Wirelessもそうなんだけど、この通知に関する音量調節をできるようにして欲しいかな。

2 1度通知されると頻繁に通知される

で、この「LowBattery」が1度通知されると、結構頻繁に通知されるようになるので、音がデカい上に鬱陶しい。これも設定とかで変更できるようにして欲しいところだ。

3 接続時、認識されないことがある

たまたまなのかもしれないけど、接続時に認識されないことがあった。無線だから仕方がない部分なのかもしれないけど・・。

4 main側(右側)を外して少し離しただけで、音声が途切れる

これは、CX True Wireless と大きく違うところなんだけど、右側がmain機として動いているようで右側を耳から外して少し離すと左側も聞こえなくなってしまう。ドングル接続時は低遅延対応で仕方ないとは思うものの、それ以外はもう少し距離を確保して欲しいかな・・。

5 アプリが役に立たない

これも感想のところで書いたけど、アプリがファームウェアとイコライザぐらいしか機能が無いのでPCアプリである必要が無い。

あと、インストール場所(フォルダ)をこちらで指定することができないという、ちょっと行儀の悪いアプリで、更にスタートアップに勝手に登録されるためPCを起動すると毎回立ち上がってくるという嫌がらせみたいな設定をしてくる。(私はそんなの不要と思っているので、速攻でスタートアップを無効化した)

6 バッテリー切れになるとブツっと切れる

CX True Wireless だと「パワーオフ」と通知されてから音声が切れるんだけど、GTW 270は突然ブツっと切れてしまう。「LowBattery」の通知が来ているから解っているとは言え、なにか通知が欲しいところだ。

今のところ問題に感じているのはこれぐらいかな。

他トランスミッターとの接続検証

ドングルを使うことで低遅延を実現しているけど、これは本当にaptX LLなのか?ここが気になっていたため、ワイヤレストランスミッターを購入して検証してみた。

購入したのは、eppfunというメーカーの AK3040Pro という製品で、aptX、aptX LL、aptX HD、aptX Adaptive、SBCのコーデックに対応している。(AACは対応していない)

日本語のマニュアルも添付されていて、中国の製品だけど当たりを引いたかな?と思っている。

これでアケアカ ドルアーガの塔をやってみたけど、ドングル接続時と遜色なく使用することができた。ドングルは紛失しないように箱の中に入れておいて、普段はこの AK3040Pro を使おうかと思っている。

難点としては、ドングル接続時より音量が低めでボリュームを大きめにする必要があるところかな。

最後に

GTW 270を買う前にEPOSのサイトを確認していたときはまだ製品としてラインナップされていたんだけど、2日前ぐらい(この記事は2023/11/25に書いている)に見たらラインナップから消えていた。ネット検索結果のリンクもよくわからないログインページになっていて、おそらくアクセスできないように変更されているんだと思う・・。

で、よく見たら、サイトには「エンタープライズソリューションに注力するためゲーミングヘッドセットは2024年に段階的に縮小していく」ということが明言されていた。要するにゲーミング用のヘッドセットは売れなかった、マーケティングやブランドの浸透に失敗した、ということなんだろう・・。

GTW 270はaptX LL対応の低価格イヤホンなので、無くなってしまうのは残念だ。

ただ、しばらくはワイヤレス環境でゲームをプレイできるので、購入したやつで凌ぎつつ他社からよいaptX LL対応の製品が出るのを期待したい。

ということで、GTW 270 Hybrid の使用感想でした。

追記(2023/11/26)

上に、今後他社からよいaptX LL製品を・・と書いたんだけど、どうも今後aptX LLの製品は出てこない可能性がある。ゲーミング、低遅延でワイヤレスイヤホンについて調べたところ、ネットの情報ではどうやらBluetoothオーディオの次世代規格となる LE Audio (LEは、Low Energyの略)が今後採用されていくであろうことから、aptX系列の採用はレガシー機器(既存の機器)向けに留まり、LE Audio 対応がメインになると推測できるからだ。

LE Audioが浸透していくまで恐らく2~3年掛かると思われるので今すぐに取って代わるようなものではないだろうけど、現在のBluetoothオーディオの標準コーデックとなるSBC(Sub-Band Codec)の制限に対応する新しい標準になるので、LE Audio対応が当然という状況が数年後にはやってくると思われる。(加えて他のコーデックのオプションとしてLC3の実装が可能みたいなので、既存コーデックでも利用できるとは思うけど、親機/子機の両方でそれらに対応する必要があるだろうから、使いたい場合はいずれにせよ買い直しかな・・)

LE Audio では、このSBCに置き換わる新しいコーデックとして、LC3(Low Complexity Communications Codecの略で、C3とは頭文字Cが3つ続くためC3と略している)が導入される。LC3は、低複雑性という名前からわかるように混信を防ぐための仕組みを持ちつつ、音質の調整(消費電力とのトレードオフな部分があるけど、従来より低電力で高音質になっている)を可能とし、低遅延(推定される遅延は20ミリ秒)なコーデックになっていて、現在のaptX LLの論理値となる40msの半分程度になることから、ワイヤレスにおける遅延は劇的に改善されるんじゃないかと思われる。

仕様書の概要を読むと、コーデックのアルゴリズム遅延の合計が12~13msとなっているようなので、そこにそれら以外の遅延を加えると推定遅延が20msというのもあながち嘘では無いのかな・・と思っている。

LC3対応のワイヤレスイヤホンは、現在のところモバイルバッテリーで知名度のあるAnkerから Soundcore VR P10 という製品が出ている。こちらは専用ドングルがLC3で接続する形になっていて、遅延は30msまで抑えている。

興味深いので、買ってみたいけどAmazonブラックフライデーで他に色々と買ってしまったので、年末年始のセールでまた安くなったら買ってみようかと思っている。